本書は群馬県発行のメールマガジン『ぐんま見聞録』に連載した「上州弁講座」が発端になり、これを体系的かつコンパクトにまとめなおして刊行されました。
1章に音声・音韻転訛のあらましを14項目に、2章では文法転訛を19項目にわたって判りやすくまとめました。それぞれの項目のタイトルには親しみやすい上州弁を多用しています。とかく言語学系の本はとっつきにくい面もありますが、本書では中・高生でも理解できるよう、表現に工夫をこらしました。
3章は上州弁の七不思議。4章に上州の風土と自然をとりあげ、5章には上州弁から見る上州人気質に迫ってみました。既刊の『面白かんべェ上州弁』シリーズ4冊と合わせてご覧になると、上州弁ワールドがより一層身近になることと思います。 又、資料として、接頭辞のついた上州ことば一覧、及び上州のことば5,000語を辞書としても使えるようまとめました。
遠藤隆也 著 ISBN978-4-9900966-8-7 A5判/並製/本文240頁/定価1543円(本体1,429円)/2010年4月12日 第二版第一刷
上州弁読本 目次 ・・・・・一家に一冊、笑いの常備薬を
〈一章〉音声・音韻転訛
「イ」と「エ」が時々デンゲッちゃんさね
母音の転訛を図にしてみると――
連母音は「エー化現象」が著しい
半母音の欠落・添加・交替
カ行子音の濁音化
サシスは促音の後でツァ・チ・ツ
バナマ行の三角関係
りがシー現象
「シュ・ジュ」の直音化、「シ・ジ」の拗音化
ラ行子音の撥音化と[r]音の脱落
その他さまざまな形の撥音化
めまぐるしく起こる促音や撥音の添加
助詞「を・は」は昔ャー「ノ・ナ」だった
ヒとシも時々デングリガエル
〈二章〉文法転訛
ベーベー言葉の三段活用
カ変の変
「居る」の「い」や「行く」の「い」はとれやすい
聞ぎ知りてイ音便、歩いて七里の促音便
ナンナンダガナ、カス系動詞が多い
そりゃー、うまカねーねェ
「~(する)よ」は「イ・ー(長音)」及び「ライ・ラー」
「タッタ」から「タイ」へ
「~じゃない」意のガン・ガネ・ガー
上州弁らしさに充ちる助詞の転訛1.2
「セ・ヤッセ・ラッセ」と「サ」抜きの「ナイ」
尊敬語の助動詞「シャル」「ラッシャル」
上州弁における敬語的表現あれこれ
慣用句的副詞の使い方
自在に使い分けられる対称代名詞
リャー・シャー・キャー現象
「~なくても」は「~ット」or「~ヤット」
日々喰う茱萸のウ音便
〈三章〉上州弁の七不思議
ミツケタけど無かった
外来語まで上州弁ぽく転訛させる
使い分けが著しい上州弁
雨が降ってる、風も吹いてる、なのに……
時として自動詞の他動詞化が現れる
「捜す」という意味の「カガヤク」
「クサル」は時々「濡れる」こと
お大事なさい・お稼ぎなさい
反対言葉っツンがあるんさね
ショッパイ話
ジョウゴとスイカン・スイハク
〈四章〉上州の風土と自然
上州弁が、上州江戸言葉ズス、閉めるは、と言われる背景
開けるはハタテル
地名の転訛とアクセント
オバー、○○の昔を聞かせらっしゃい
“あたら精神”でつくられてきた「ツジュウダンゴ」
ドンドン焼き
小正月の飾りもの
オッキリコミとツメリッコ
オンマケルとウンマケル
キツネの嫁入り、オトーカの嫁取り
スートメ、スートメ○○○で廻ーれ
ブチカッテ、ブチタタカッシャイ
マンガアレーとオヤマイワイ
ヒガンバナ
二月の初午の日にゃ、「シミツカレ」だいね
伊勢崎もんじゃ音頭
〈五章〉上州弁から視る上州人気質
上州人には「ノテ系」の人が多い!?
「ノテ系」に対立する「タッコネー系」
マッサカ(随分)、ガショウキだいなァ
「エーラ」の多い邑楽郡は「エーラ郡」
成為済生と如す
“気取らない温もり”を醸し出す長音化
上州ではナカラのシが衆は「シ」
京へ筑紫に坂東さ
ズデーとマサカの二つの意
昔ャー男も女も「オレ」や「オラ」
「デ・ド」と「ゼ・ゾ」は時々交替する
「~どころではない」は「~ズラーネー」
今度の活動、観ィ行ッチシタかい
るンるン・たンたン言葉
塩加減をみる
カザル(触れる)の微妙な使い方
『万葉集・東歌』に歌われる上州人気質
〈資料〉
接頭辞のついた上州ことば一覧
上州のことば